特集 氏子の想い Vol.3

特集 氏子の想い

諏訪の「熱い想い」を込めて

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宮坂直孝さん

真澄 蔵元(宮坂醸造株式会社) 代表

―真澄と諏訪大社との関わりは?

■宮坂 そもそも【真澄】という酒名が諏訪大社のご宝物である【真澄の鏡】に由るものだと言われております。亡くなった祖父の話では、江戸末期頃から【真澄】の名を使わせていただいたようです。
―御柱祭との関わりは?

■宮坂 御柱祭は日本国内でも最も古くからあるお祭りのひとつであり、諏訪を代表する大きな催しです。この地で350年あまりにわたって商売を続けさせていただいている酒蔵として、大切に守って行かねばならないという気持ちでおります。また商売の神様であるお稲荷様が蔵の敷地内に祀ってあり、秋には会社を挙げて小宮の御柱を執り行います。

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―御柱祭における具体的な取り組みについて教えてください。

■宮坂 昔は祭りの期間中、毎日御柱街道に出店してお酒を販売していました。早朝に設営して、御柱の動きとともに場所を変え、実に多忙を極めました。酒蔵の私たちにこそ任されるべき光栄な役割でしたが、時代の流れというべきか前回から街道への出店はなくなりました。商品としては、毎回御柱祭のイラストを入れたお酒を作っておりまして、来年も御柱バージョンの一升瓶と紙パックをご用意いたします。これは長年続けてきた当蔵の伝統ですが、地元の氏子の皆さんが御柱祭の準備で集まる際、御柱ラベルの【真澄】で気分を盛り上げていただきたい、という気持ちを込めています。

―来年の御柱祭に向けて、酒造りの面ではどのような計画をされていますか。

■宮坂 日本酒は、ここ数年間で大きく様変わりしているのをご存知ですか。厳密には年ごとに味わいが違うんです。意外と知られていませんが、酒造りというのは「去年よりいいものを」「さらに旨い酒を」と微妙な変化を加えて年々進化させています。今年、うちの蔵では特に力が入っておりまして、仕込みが終わった直後からすでに内容の濃いミーティングをスタートさせ、例年なら一段ステップアップするところを、三段跳びを目指そうと話し合っています。

―御柱祭は、国内外のお客様に広く日本酒の魅力を知っていただくチャンスでもありますね。

■宮坂 「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたこともあり、世界中から日本酒の注目度がアップしています。日本酒の業界自体も活気づいています。おたがいに切磋琢磨して、より品質の高いお酒が生まれています。私どものような地方の酒蔵も地道に研究を重ね、昔からの伝統の技に最新のテクノロジーを取り入れ、お酒を進化させているのです。ここでテクノロジーと言っても、決して機械任せではなく、むしろ昔より手を掛けて真摯にお酒と向き合っていますよ。そのようにして誕生した美味しいお酒の魅力が、国内はもとより海外にも認められ始めているんですね。今や日本酒はワインにも負けないほどに魅力あるものと自負しております。

だからこそ、御柱祭を機に「諏訪のお酒ってすごい」「日本酒ってこんなに美味しいんだ」と感動を超えた驚きを感じていただけるよう、気を引き締めているところです。

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―伝統を守りつつ、かたや変化を恐れずに挑戦し続けることは困難が伴いそうですね。

■宮坂 確かに容易ではありませんが、私たちの中に息づく"諏訪人気質"に支えられている部分、もあると思います。たとえば、かつて日本の主要な産業であった製糸業でこの地は世界一となり、戦後は精密機械工業を発展させ世界トップレベルとなりました。そもそもこの地方には、ものづくりの民の血がずっと流れており、それが"諏訪人気質"として今も息づいていると思うんです。究極の品質を求めてとことん突き詰める。そのためには手間も努力も惜しまない。そんな熱い想いが潜在的にあるように思います。私たちの酒づくりにもまた、そうした諏訪人気質が大いに生かされているのではないでしょうか。

―そんな諏訪人の「熱い想い」が七年に一度、大きく表に出てくるのが御柱祭かも知れませんね。最後に、宮坂さん個人は御柱祭にどのように参加されますか?

■宮坂 実は私、純粋に一氏子として参加させていただいたのは前回が初めてでした。それまではお祭りの裏方に徹して、ずっと御柱街道でお酒を出していましたから。50歳を過ぎて初めて法被を着て、御柱を曳かせていただきました。すると、自分でも驚くほど血が騒ぐし、涙腺が緩むような不思議な感覚もあるしで、「これはやめられない! 」と感じました。今回は息子や孫にも、...まぁ孫はその頃ようやく歩き始めるくらいなんですが(笑)...、諏訪人のプライドである御柱の熱気をたっぷり体感させたいと思っています。

(平成27年6月取材)

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